ピッチシフトとフリケンシーシフトの違いを聴き分ける
メロディーを移調することと、金属的な響きにすることは別の仕事です。Pitch Shifter には Pitch、Freq、Ring の 3 モードがあり、コントロール横の単位表示が、いまどの種類の変化を加えているのかを教えてくれます。
音程関係を保ったままレジスターを変える
Pitch モードでは、すべての周波数に同じ比率が掛けられます。1 オクターブなら周波数は 2 倍になり、7 半音ならフレーズは 5 度上がります。リズムを書き直さずにパートを別のレジスターへ移したいときに便利です。キーを検出したり個々のノートを補正したりはしません。通過する信号全体が同じシフトを受けます。
2 つの例はどちらも、サンプリングされた楽器の録音ではなく、同じ 8 秒のオリジナルのシンセプラックを使っています。ノートが分離しているので、アタックと減衰していく倍音を比べやすくなっています。1 つ目の例を Dry/Wet 100% で再生し、Pitch を +7 から 0 へ、また戻してみてください。結果が明るくなったかどうかだけで判断せず、メロディーを追いかけましょう。Fine はセント単位の微小なオフセットを加えます。このテストではゼロのままにしておきます。
プラックを 7 半音上へ移動する
Interactive audio example
次に Dry/Wet を 50% 付近まで下げます。いま聴こえているのは「精度の落ちたトランスポーズ」ではなく、元のノートとその移調されたパートナーが同時に鳴っている状態です。ハーモニーの素材にはなりますが、重なった倍音と柔らかくなったアタックが、動きの多いラインを不明瞭にすることもあります。加わったレジスターが元のフレージングの邪魔になるなら、ウェット量を控えめにしてください。
倍音の関係を意図的に壊す
Freq モードは代わりに固定のヘルツ数を加算します。200、400、600 Hz にパーシャルがあるとして、80 Hz を加えると 280、480、680 Hz になります。もはや最低次パーシャルの整数倍ではありません。フリケンシーシフトが、鍵盤上をきれいに移動したメロディーではなく、金属的で不協和なテクスチャーを生みがちなのはこのためです。
半音ではなくヘルツを加算する
Interactive audio example
2 つ目の例では、Coarse の +80 Hz とゼロを比べてください。テールが倍音的に落ち着かなくなっていくのを聴き取りましょう。次に Coarse をゼロに戻し、ドライ信号を少し混ぜた状態で、Fine に小さな正のヘルツ値を試します。元のパーシャルとシフトされたパーシャルのゆっくりした干渉が動きを生みます。大きなオフセットはチューニング修復ではなくサウンドデザインとして扱うのが賢明です。Wide は Freq と Ring モードでのステレオ処理を変えるので、基本的な違いを学んでいる間はオフのままにしてください。
Ring モードは入力にキャリアを掛け合わせ、和と差の成分を作ります。控えめなウェットレベルで Ring Freq を 110 Hz 前後にしてみてください。Freq モードの一方向シフトと違い、両方の成分がキャラクターに寄与します。Drive には専用の有効化ボタンがあり、ノブを上げるだけでは有効になりません。元のノートが役割を失ったら、ウェットレベルか Drive を下げましょう。
リピートを単なる繰り返しではなく、上昇させる
Pitch モードに戻り、Pitch を +7 に設定して Delay をオン、Sync で 1/4 の分割を選びます。Feedback をほぼ最小から始め、ゆっくり上げていきます。ディレイ信号がシフターを通って戻るため、繰り返しのたびに再び上昇します。完成したトランスポーズの後段に通常のディレイを置くのとは違う挙動です。Dry/Wet を下げれば、即時のプラックを残しつつ、シフトされたエコーがその隙間を埋めます。
Tone はフィードバックループ内のローパスです。循環する繰り返しを暗くするのであってドライ音には作用せず、Delay がオフでは何の役にも立ちません。トレイルが無関係なノート同士をつないでしまうなら短くしてください。Pitch モードでは Formant が補正を有効にし、F. Shift がスペクトルエンベロープを変えますが、どちらもあらゆるソースで自然な結果を約束するものではありません。Window は解析の構成を変えるため音がリセットされることがあります。パフォーマンス的にスイープするのではなく、比較の合間に調整しましょう。調べたいアーティファクトが具体的に見つかるまでは、Window と Tonality は Auto のままにしておきます。